『わたしたちの登る丘』アマンダ・ゴーマン

12. 2月, 2021 • 0 Comments

第46代米国大統領の就任式で読まれたアマンダ・ゴーマンの詩を翻訳しました。詩的表現が実現していることは訳に反映できていませんが…。
The Hill We Climb – Wikipedia
READ: Transcript of Amanda Gorman’s inaugural poem | TheHill


『わたしたちの登る丘』アマンダ・ゴーマン

朝が来ると、自問する
この明けることのない陰の何処で光を見いだせるのだろうかと
負いつづけなければならない失ったもの
泳ぎ渡らなければならない海
わたしたちは獣の腹の中を通ってきた
平穏が必ずしも平和を意味しないことを学んだ
今そうであるからといって、当たり前とされていること、考えられていることが、必ずしも正しくはないことを学んだ
それでも、夜明けはわたしたちのものなのだ。そうであると知る前から。

壊れたわけではない、ただ未完成であるだけの国を、どうにかして、わたしたちは営んでいる。
どうにかして、わたしたちはそれを生き抜き、それに立ち会っている。
わたしたちは、ひとつの国、ひとつの時代を受け継ぐ者だ
奴隷の子孫で、シングルマザーに育てられたやせっぽちの黒人の少女が
大統領になることを夢見ることができる国を
気づけばこうして大統領のために詩を朗読している国を

確かに、わたしたちはまるで洗練されていないし、無垢ともほど遠い
しかし、完全なる一致を築こうと、わたしたちは格闘している
あらゆる文化、あらゆる色、あらゆる形質、あらゆる状態の人のための国をつくる目的を持ち、一致を築こうと格闘している
だから、わたしたちは目を上げて見る。わたしたちを隔てているものをではなく、わたしたちの前に立ちはだかっているものを。
わたしたちは分裂を塞ぐ。未来を第一とするためには、違いは脇に置かなければならないと知っているから。
わたしたちは武器を置く。互いに手を差し伸べることができるように。
わたしたちは誰が害されることも望まない。すべての人のための調和を望む。

世界に少なくともそれは真実であると言わせよう。
私たちは嘆きながらも、成長したということを。
傷つきながらも、希望を失わなかったということを。
うんざりしながらも、努力したということを。
わたしたちは勝利に輝きながら永遠に結ばれ続けるということを。
二度と敗北しないことによってではなく、二度と分裂の種を蒔かないことによって。

聖書はこう幻を抱くように命じている。「人はそれぞれ自らのぶどうの木、いちじくの木の下に座し、脅かす者は誰もいない」。
自分の時代を精一杯に生きるためには、剣によって勝利することはできない。架ける橋によって勝利するのだ。そこに約束の日の差す地があるのだ。その丘をわたしたちは登るのだ。そうするかどうかはわたしたちにかかっている。
なぜなら、アメリカとは、わたしたちが受け継いだ誇り以上のものだから。それは、わたしたちが足を踏み入れていく過去でもあるのだ。それは、その修復の仕方でもあるのだ。

わたしたちは、国を、分かち合うのではなく、粉々に砕く力を目にした。民主主義を遅滞させるという意味で、国を破壊する力を目にした。その力は成功を目の前にした。
しかし、民主主義は、時に遅滞することはあっても、決して敗北したままであることはない。この真実、この確信に、わたしたちは立つ。なぜなら、わたしたちの目は将来に注がれ、歴史の目はわたしたちに注がれているから。

わたしたちは、正義に立つ贖罪の時代に生きている
はじめ、そのような時代を生きることを、わたしたちは恐れた
そんな身のすくむような時に後継者となる準備はできていないと感じていた
だが、その中で、わたしたちは力を見いだした
新たな章を執筆する力を
自らに希望と笑いを与える力を
だから、以前は、どうしてこの破局にわたしたちが打ち勝つことなどできようかと考えていたが
今は、どうしてこの破局がわたしたちに打ち勝つことなどありえようかと断言するのだ

わたしたちは過去に向かって行進するのではなく、未来に向かって進んでいく
傷ついてはいても損なわれてはおらず、慈愛に満ちていながらも大胆、果敢で自由な国として
進む向きを逆さにされたり、歩みを妨げられたりはしない
行動しないことや無気力であることが次の世代に受け継がれることを知っているから
わたしたちの過ちは、かれらの重荷になるのだ
ひとつ確かなのは、慈悲を力と、力を権利と、結合させるならば、愛を遺産として残し、子どもたちの生まれながら持つ権利を変えることになるということ
だから、自分たちが受け継いだものよりも、よい国をのこそう
ブロンズを叩き出して造られたわたしの胸から出るひとつひとつの息で
この傷ついた世界を素晴らしい世界に育てよう
金で縁取られた西部の丘から立ち上がるのだ
先人たちが最初に革命を実現した風吹き渡る北東部から立ち上がるのだ
湖に縁取られた中西部の諸州から立ち上がるのだ
陽光の照りつける南部から立ち上がるのだ
再建し、和解し、回復するのだ。
この国のあらゆる地が、民が、その多様で、麗しい姿で立ち現れる
傷つき、しかし美しく

朝が来ると、わたしたちは陰から足を踏み出す
燃え立つ思いを持ち、恐れずに。
わたしたちがそれを解き放てば、新しい日の光は昇る
なぜなら、光はいつもそこにあるからだ
私たちにそれを見る勇気があるならば
私たちがそれになる勇気があるならば

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