礼拝覚書(9) ルブリック(礼拝細字規定)

16. 6月, 2019 • 0 Comments

聖ヒッポリュトスは紀元215年頃に『使徒伝承』を著しました。彼は、「よく教えを受けた者が、わたしたちの説明に耳を傾け、現在まで受け継がれてきた伝承を守り、理解し、確信が持てるようにするために、わたしたちは教会の認める伝承の真髄に、諸聖徒への愛に促されて触れていこう」と述べて、礼拝の心得、組織、所作、祈りの言葉を記しています。

わたしたちの用いている祈祷書は、いわばその『使徒伝承』の系譜を引くもので、単なる礼拝式文集ではなく、教会の在り方を教えるものです。『使徒伝承』には、祈祷文の他に、例えば、「教えを受けるために、連れてこられた人の携わっている仕事と職業について調べられる。…権力のもとにある兵士は人を殺してはならない。人を殺すように命令されても実行してはならないし、誓ってもならない。もし、これを望まないなら、退けられる」というように、具体的な指示が記されています。このような指示は後に赤インクで筆写あるいは印刷されるようになって、ルブリックと呼ばれるようになりました。日本語では「礼拝細字規定」と呼びます(カトリックではルブリカ=典礼注記)。わたしたちの祈祷書では、それは小文字で記されています。

「私たちが、ルブリックに従い、教会の伝統的な作法や慣行によって、共に礼拝する事により、祈祷書は、ただ一冊の書物であることから、私たちの教会の、生きた礼拝の書となります。」(『信徒ハンドブック』, 日本聖公会教務院編, 1968)

各式の冒頭に置かれたルブリックには、その式の意味や心得が記されています。朝夕の礼拝(p.18)、嘆願(p.98)、聖餐式(p.159-161)、教会問答(p.258)、入信の式(p.268)、個人懺悔(p.298)、聖婚式(p.300)、誕生感謝の祈り(p.317)、病人訪問の式(p.323)、葬送の式(p.346)等で記されていることは、信徒に向けて書かれていることですから、読んでおくようにしましょう。ルブリックだけでなく、折にふれ、本文を読むことも大切なことです。

「歌いまたは唱える」等、具体的な指示を内容とする式中のルブリックは、改めて目に留める必要を感じないかもしれません。しかし、礼拝は決まった形を繰り返せばよいというものではありません。それが生きた祈りとなるように、その教会の現実の中で常に新たに解釈され、実践されなければならないものです。それは司祭の仕事だと思われるかもしれませんが、司祭は会衆の理解がなければ変えられないものです。ルブリックの部分にも関心を持ってくださればと思います。

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