ジンバブエで教会を警察が襲撃 :: 海辺のノート

ジンバブエで教会を警察が襲撃

19. May, 2008 • 1 Comment

ジンバブエは、ムガベ大統領による長年の独裁、コンゴ内戦への介入にかまけての内政の失敗、国民の不満をそらすための白人農場の強制没収などで混乱を極め、年60万%のインフレ率、食料・燃料の不足、治安の悪化などにあえいでいます。

ジンバブエの諸教会は、選挙のプロセスの透明性の確保と、これ以上の事態の悪化を防ぐための国際社会による介入を求めており、世界教会協議会(WCC)のサミュエル・コビア総幹事も、ジンバブエの諸教会との連帯を呼びかける声明を4月25日に出しました。

以下は、6月27日の大統領選の決選投票を前に、ジンバブエの聖公会が、政府による集中的な弾圧を受けていることを伝える記事です。雑な翻訳で恐縮ですが、ジンバブエで今起きていることを知る一助としていただけたら幸いです。どうぞ、ジンバブエの教会と、苦しみのうちにある人々を、祈りの内にお覚え下さい。

◆ ジンバブエで教会を警察が襲撃

2008年5月16日 CELIA W. DUGGER (The New York Times)

ジンバブエの首都ハラレの聖フランシス教会で、主日礼拝のために入り口で並んでいた信徒たちに、暴徒化した警察が襲いかかりました。

ヘルメットをかぶり、黒ブーツを履いた警察官たちは棍棒で会衆席を叩いてまわり、信徒たちは外へ逃れようとドアに殺到したと、証言者たちは語っています。一人の警官は、ごった返す中で聖書を落として拾おうとした少女とその祖母を棍棒で殴りました。「わたしたちは、どんな試練に逢おうと、礼拝を続ける!」と叫び、一人の女性が聖歌を歌い始めました。聖公会母親会のユニフォームである黒いスカート、白いシャツ、青い頭巾をつけた数百人の女性たちが一緒に歌い始めました。

しかし、大統領選の決選投票を前にして政権党は暴力的なキャンペーンを強化しており、果敢な抵抗のかげで恐怖が広がっています。ジンブブエ社会にさらに深く広がりつつある紛争状態にあって、政権党は、まだ支配が確立できていないグループをターゲットにしており、他のNGOや労働組合、独立選挙監視団や野党などと共に、聖公会ハラレ教区もその一つになっているのです。

聖公会ハラレ教区の指導者たちは、教会は特定の政党を支持しておらず、信徒には政権党の支持者もいれば野党の支持者もいると、報道機関のインタビューに答えていますが、政権党は、ムガベ大統領の同盟者であって聖公会と袂を分かった前主教のノルベルト・クロンガ氏に従うものだけに礼拝をゆるすことを決めたようです。

過去三週間にわたり、警察は、聖公会の司祭や信徒のリーダーたちを逮捕し、信徒たちを棍棒で殴ってまわり、数十の礼拝堂を封鎖して数千人もの信徒たちの礼拝をできなくしてきました。

セバスチャン・バカレ主教は、「初代教会の頃の迫害について多く学んできた神学者として、その歴史に連なっていることを実感しています」と語りました。66歳のバカレ主教は引退していたのですが、クロンガ氏に替わるために現職に戻られました。「私たちは迫害されているのです。」

教会指導者たちは、ハラレ教区の紛争は、その豊かな財産だけが原因でなく、教会の統治権が原因だと言います。特に、3月29日の大統領選の後、激しくなっているのです。

クロンガ氏は、最近もムガベ大統領のことを「神の預言者」と呼びましたが、政権党の熱心な支持者、白人が所有する農園の差し押さえの主唱者として知られており、この政策から個人的に恩恵も受けている人物です。

このようなクロンガ氏と政権の関係が信徒たちへの襲撃の背後にあることは承知しながらも、聖公会の諸教会はムガベ氏を激怒させる行動を取っています。

1月、アングリカン・コミュニオンは、クロンガ氏のムガベ氏との親密な関係に対して「深い憂慮」を表明しました。そして、4月21日には、選挙後の野党支持者への報復がつづく中、すべてのキリスト者に「暴力と、選挙結果の秘匿、ごまかし、偽り、抑圧、腐敗」からジンバブエが救われるように祈ることを呼びかけました。

3週間前には、南アフリカ聖公会の主教が、ジンバブエの民衆の弾圧に使われる恐れがあると裁判に訴えて、中国製の武器の搬送の差し止めを勝ち取りました。

首都ハラレのほとんどの信徒が支持しているバカレ主教の支持者たちは、クロンガ氏が、教会が野党と協力していると政権党に偽りを申し立てていると主張しています。

礼拝堂は信徒たちが等しく利用できるようにしなければならないと最高裁が判決を出しましたが、しかしクロンガ氏の支持者のみが礼拝を許される状態が続いています。

今週、最高裁は、判決に対するクロンガ氏の控訴を却下しましたが、教会指導者たちは判決が執行されるか確信が持てないと話しています。

聖フランシス教会の匿名希望の女性信徒は、教会から神聖さが失われた今、どこに慰めを求めればよいのかと訴えます。「私は教会に行って、主に話しかけ、慰めを与えられています。でも、今は、どこへ行けばよいか分かりません。」彼女は1人で5人の子どもを育てている母親で、聖歌隊のメンバーです。

クロンガ氏も、彼の代理人のモリス・ブラウン・グウェデグウェ司祭も、コメントを求めて何度も電話しましたが、応答がありませんでした。

警察の最高責任者であるオリバー・マンディパカ氏は、聖公会信徒への警察による襲撃について、そのような事実は承知していないと答え、訴えている者たちの名前を求めました。「名前を教えなさい。名前が分からないままでは、コメントしません。じゃ、どうも。」と言って、彼は電話を切りました。

クロンガ氏と教会の間の確執には、財産と権力の問題の他に、教会の根本的な価値に関わる問題があります。クロンガ氏は、教会が同性愛者に対して同情的であることを批判して、袂を分かちました。昨年10月、聖公会中央アフリカ管区は、クロンガ氏は教会との関係を絶った、と公にしました。

バカレ主教は、クロンガ氏が教区の立場に反してゲイ、レズビアンに対する憎悪を説教したと言います。「私たちは、すべての人を受け入れる、非排他的な教会を信じています。」

同性愛者の司祭按手に反対する主教グループ(Global Anglican Future Conference)も、クロンガ氏とは距離を置いています。Arne H. Fjeldstad氏はメールでの返答で、クロンガ氏はグループのメンバーでなく、ムガベ大統領の取り巻きであると述べました。

クロンガ氏は、ムガベ氏への忠誠から多くを得ています。2003年、政府は、クロンガ氏に、ハラレ郊外の1630エーカーの土地と、7つのベッドルームがある家を与えました。それは、マーカス・ヘイル氏が1990年に200万ドルで購入したもので、政府に保障なしに没収された土地と家でした。

ここ数週間、クロンガ氏の影響は、多くの教会で目に見えたものになっています。警察官が入り口に立ち、クロンガ氏を支持する司祭の他は、入ることが許されなくなっています。

5月4日、ハラレ郊外の聖パウロ教会では、警察の命令に従わずに、会衆が大栄光の歌を歌い続けると、無線で連絡を受けてさらに50人の警察官が駆けつけ、会衆席を激しく棍棒で叩き続け、会衆を礼拝堂の外に追い出しました。信徒たちは携帯電話のカメラで警官たちを撮影し始めました。すると警官たちは「家に帰れ。ここはおまえたちがいるべきところではない」と言いながら、棍棒を振り回して信徒たちを追い散らしたのでした。


関連記事:「ジンバブエを覚えて」(祈り)

1 Comment to “ジンバブエで教会を警察が襲撃”

  1. くまのみ says:

    5年の後、ジンバブエの教会は取り戻されました。感謝!
    http://www.anglicancommunion.org/acns/news.cfm/2012/12/16/ACNS5273

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