聖餐式聖書日課について

22. 5月, 2014 • 0 Comments

※ 参考文献:『主日の御言葉 – 教会暦・聖餐式聖書日課・特祷』(森紀旦, 聖公会出版, 2000)

◆2014/5/25 週報のコラム

伝統的なキリスト教会では、各主日に朗読される聖書箇所を定めた日課表が用いられています。

歴に基づいて決められた箇所を礼拝で朗読する伝統は、初期ユダヤ教に遡ります。

会堂での礼拝は聖書朗読が中心でした。聖書朗読は、「律法」(モーセ五書:創世記~申命記)の朗読と、「預言者」(前の預言者:ヨシュア記~列王記、後の預言者:イザヤ~エゼキエル、十二の小預言者)の朗読から成っていました。パレスチナの会堂では「律法」は54に区分された3年周期の週課が使われていました。後にバビロニアの1年周期の週課が一般的になります。他に「諸書」が暦に合わせて朗読されました。春の過越祭には『雅歌』、初夏の刈り入れの祭りには『ルツ記』、アブの月(7、8月)の9日には第一神殿、第二神殿の破壊を嘆き悲しんで『哀歌』、秋の仮庵際には『コヘレトの言葉』、アダルの月(2、3月)のプリムの祭りには『エステル記』が読まれました。

会堂の聖書朗読は、初代教会で定時の礼拝や主日の聖餐式における聖書朗読に継承されました。ユスティノスの『第一弁明』は、ローマ皇帝に対して礼拝に関する誤解を解く為に150年頃に書かれたものですが、そこには「使徒たちの回想録」と「預言者たちの書」が朗読されるとあります。4世紀頃には旧約から1つ、新約から2つ読む計3つの日課が一般的になっていました。その後、5世紀からコンスタンティノポリスで、6世紀からローマで、旧約聖書が読まれなくなり、使徒書と福音書の計2つの日課が標準になりました。

会堂や初代教会における聖書朗読は「継続朗読」で、各書を初めから終わりまで飛ばすことなく全て読んでいく方法が取られていました。聖務日課(日々の定時の礼拝)では、現在に至るまで、この「継続朗読」が基本です。

3世紀以後、教会歴が発展、整備されるのに伴って、その日の礼拝の意図にふさわしい箇所が選択されて読まれる「秘儀選択朗読」が行われるようになりました。わたしたちが使っている聖餐式聖書日課にもこの頃からの伝統が保存されています(大斎節に洗礼の秘儀と関わって「生まれつきの盲人の癒し」が読まれる等)。そして、5, 6世紀には1年周期の聖書日課表の基本が整えられました。

◆2014/6/1 週報のコラム

聖餐式聖書日課はおよそ1500年間にわたって大きな変更のないままに用いられてきました。しかし、20世紀に入って急速に発展した聖書学の影響の下、旧約聖書が日課になっていないことや、新約に限ってみても読まれない箇所が多いことなどから、不満が提起されるようになりました。

ローマ・カトリックは、第二バチカン公会議を受けて、1969年に3年周期の聖餐式聖書日課を公刊しました。1979年、全聖公会中央協議会はその使用を勧告しました。背景には、北米の聖公会やプロテスタント諸教会が、修正を加えつつこれを採用し、それが教派を超えた性格を持つようになっていたということがあります。日本聖公会は、この勧告に従い、1990年改正の祈祷書に米国聖公会祈祷書(1979)の日課を採用しました。

この3年周期の日課は、降臨節第1主日の暦年が3で割り切れる年をA年、1余る年をB年、2余る年をC年として、旧約、使徒書、福音書の3つで構成し、福音書はA年はマタイ、B年はマルコ、C年はルカから選ばれ、ヨハネ福音書はB年や復活節等に配分されています。

福音書は、期節(祭色が赤、紫、白の主日)にはキリストの秘儀を選び読む「選択秘儀朗読」、それ以外の時期(祭色が緑の主日)にはほぼ順に続けて読んでいく「準継続朗読」になっています。

固有な特質を備えた期節には、福音書が述べる秘儀を「原型」とし、その「予型」が旧約聖書、「対型」が使徒書となるように選択されています。なお、主日礼拝で必ずしも聖餐式を祝わないプロテスタント諸教会では、旧約聖書を予型論的に読むことに批判が強く、旧約を「準継続朗読」する日課が模索されています。

それ以外の時期(顕現後、聖霊降臨後の主日)には、旧約聖書は福音書に調和する箇所が選ばれていますが、使徒書は福音書とは関わりなく選ばれていて、「準継続朗読」されます。なお、これらの節は、復活日が年によって移動するために長さが変わりますが、顕現後第6~第8と特定1~3が同じ日課になっていて、それで調節されます。同じ理由から聖霊降臨後の節の番号と特定番号は年によって必ずしも一致しません(例えば昨年の聖霊降臨後第4主日は特定6)。ちなみに「特定」は「プロパー(proper)」の訳語で「その日の」というような意味です(※カトリックでは「年間(ordinary)」と呼ばれています)。

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