高橋克彦の<みちのく三部作>

25. February, 2006 • 0 Comments

高橋克彦の<みちのく三部作>を読みました。思わず、熱くなってしまう10日間でした。

『炎立つ』1~5巻
『天を衝く』1~3巻
『火怨』上・下巻

三部作の中でも、やはり白眉は『炎立つ』。子ども向け伝記物語で読んだ奥州藤原氏の最期/義経の最期が念頭にあったので、第五巻「光彩楽土」は読むのもためらってしまいましたが、見事にひっくりかえしてくれました!

ヤマトンチュの神話、天皇制の呪縛から解放されるのに十分な歴史への想像力を与えてくれるこの三部作を、陸奥人はどう受け止めているのでしょう。

貫かれているのは中心を否定する思想。一点の中心には収斂されない東アジアのネットワークの中で、様々な自律したサブシステンス社会が存在したこと、中心との闘争において一見負け続けたようでも、実質においては決して屈服も同質化もされていないこと、むしろその時々の歴史的状況をはるかに越えて輝きつづけるものを築いてきたということ…。三度にもわたって、このモチーフを反復していることに、すさまじい執念も感じます。

小説であることを思わず忘れてしまいます。というより、これこそがよい意味で神話なのでしょう。現代に書かれた神話!これと比べると、歴史修正主義者たちが書く「歴史」が、神話と呼ぶにも値しない陳腐な物語であることが際だって見えます。

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