政治的殺害(4) 労働組合の弾圧と政治的殺害

2. April, 2007 • 0 Comments

在フィリピンの各国商工会議所が政治的殺害に歯止めをかけるようフィリピン政府に呼びかける異例の共同声明を出した(日本人商工会議所も名前を連ねたが、他の共同声明はそのホームページに掲載しているにも関わらず、この声明は掲載していない。)。それに続いてウォルマート、GAP、ポロ・ラルフローレンなどの米国系衣料品企業も同様な共同声明を出した。

これは、カビテ輸出加工区内の製造を委託している2つの衣料品工場で9月から10月にかけてストライキ中の労働者が警察によって暴行を受けて解散させられる事件が連続して発生して国際的な注目が集まったこと、またカビテ輸出加工区の労働者支援にも力を入れていたフィリピン独立教会のアルベルト・ラメント元首座主教が10月3日に殺害される事件が起きて国内外の教会からの激しい非難が巻き起こったことによる。

カビテ輸出加工区は日本のODAによって作られ、開発支援のモデルケースにされているが、「ノー・ユニオン、ノー・ストライキ」政策が実施されており、労働者は劣悪な住環境、労働条件を強いられている。ラメント主教が運営委員長を務めていた「労働者支援センター」は、厳しい弾圧をかいくぐって労働者の中に入り、労働者の教育や組織化を進めてきた。(詳しくは「”貧しい農民と労働者の司教”アルベルト・ラメント師父の殉教 」参照:http://ncc-j.org/diarypro/archives/175.html)

前記の米国衣料品企業は声明の中で、「私たちは、工場で働き私たちの製品を生産している者は、自由に集まる権利、自分が選んだ団体に加入する権利、不法な妨害を受けずに団体交渉をする権利を持っていると強く信じている。労働者は、物理的な暴力や危害の恐れがない環境で働き、生活をすることができなければならない」と主張している。本来は当然であるべきこれらのことが、わざわざ確認されなければならない実態があるのだ。

フィリピンは、開発体制の集団的労働法を取っており、労働組合の強制登録制度があって未登録組合は違法とされ労働組合としての活動を否定され(1987年労働法典234条)、労働争議の強制仲裁制度を持ち(1987年労働法典263条(g))、労働協約の認証制度を設けている(1987年労働法典231条)。これらによって労働組合の「行動の自由」を実質的に規制して(全労働者に占める組合組織率は約8%)、外資の直接投資を誘致しているのである。さらに、カビテ州では、誘致企業への雇用に紹介状を必要とすることとし、そのときの「私的な」誓約書に労働組合参加とストライキ参加はしないことを書かせて、「産業平和」を実現してきたのである。

それに加えて、日系企業はフィリピントヨタ労組をめぐる紛争に見られるように、団体交渉に不当に応じなかったり、比政府に迅速な解決のための介入を求め、比政府はそれに応えて正当な組合活動を治安問題として物理的暴力で抑える対応を取るという構図がある。そんな中で、政治的殺害が起こっているのである。

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